映画「ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-」主演 松田翔太&浜野謙太 インタビュー


ディアスポリス

取材・文/映画ナタリー編集部 撮影/平岩享
スタイリスト/丸山晃ヘアメイクアップ/ 佐藤富太(松田翔太)衣装/岡部俊輔(UM)(浜野謙太)

松田翔太が主演、熊切和嘉が監督を務める「ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-」が9月3日に全国公開される。熊切のほか冨永昌敬、茂木克仁、真利子哲也が演出を手がけたドラマ「ディアスポリス 異邦警察」の続編にあたり、密入国者が東京に築いた自治社会“裏都庁”を舞台に、“異邦警察”署長の久保塚早紀が住民たちのため奮闘する姿を描く。現在ドラマ版を配信中のビデオパスでは久保塚役の松田、その相棒・鈴木博隆役の浜野謙太にインタビューを実施。原作マンガのファンだったという2人に作品の魅力、初共演でバディを組んだ感想などを語ってもらった。

松田翔太(マツダショウタ)
1985年9月10日生まれ、東京都出身。2005年、ドラマ「ヤンキー母校に帰る〜旅立ちの時 不良少年の夢」で俳優デビュー。2007年公開の「ワルボロ」で映画初主演を飾り、その後も「イキガミ」「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」「イニシエーション・ラブ」などで主演を務める。第32回日本アカデミー賞の新人俳優賞をはじめ多くの賞を受賞。出演作「オーバー・フェンス」が9月17日に封切られる。

浜野謙太(ハマノケンタ)
1981年8月5日生まれ、神奈川県出身。バンド在日ファンクのボーカル兼リーダーとして活動。2006年公開の「ハチミツとクローバー」をきっかけに俳優としての活動をスタートさせる。2011年に公開された「婚前特急」で第33回ヨコハマ映画祭の最優秀新人賞に輝くなど高い評価を受ける。2013年放送の「僕にはまだ友だちがいない」でドラマ初主演。現在放送中の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」、ドラマ「好きな人がいること」、9月22日公開「闇金ウシジマくん Part3」に出演している。

──お二人は、オファーを受ける前からすぎむらしんいちさんとリチャード・ウーさんによる原作マンガがお好きだったと伺っています。その魅力は?

松田 僕は20代前半の頃に、面白く読んでいましたね。的を絞った主題によって生まれる現実味に惹かれました。世界観にもリアリティがあって、しかもキャラクターが魅力的。この人たち本当にいるんじゃないかって思えて。

浜野 僕は、すぎむら先生のマンガが大好きなんです。重いテーマを描きながらも、人間のコミュニケーションの面白さにちゃんとフォーカスして描いている感じがよくって。読んでるときはワハハって感じなんですけど、テーマは現実社会の真に迫ってるというか。「ディアスポリス」も連載中から読んでいて、そのときは何を思ってたか忘れてしまったんですけど、描かれている移民とか難民という問題はずっと覚えてましたね。

松田翔太

「ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-」

──ドラマ、映画の中で松田さんは“異邦警察”の署長・久保塚、浜野さんはその部下の鈴木を演じています。役作りで意識したことは?

松田 ここの(自分と浜野を交互に指さして)コミュニケーションが、重要な役作りになりましたね。芝居での絡みだけじゃなく、普段の関係も含めて。

──作品の中でお二人は、絶妙な距離感でバディを組んでいますね。

松田 役柄がそうだったからなのか、僕らがもともとそうだったからなのか今はもうわからないですね(笑)。でも、初共演だったこともあり、ドラマの3話目ぐらいまではまだ距離があったんですよ。

浜野 うん、そうだね。でも、初めて会ったときに翔太くんのほうから「在日ファンク好きなんですよ」って握手を求めながら声をかけてくれて、すごくうれしかった。それまでは、「松田翔太って怖えのかあ……」みたいなことばかり考えていたので(笑)。

浜野謙太

「ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-」

松田 僕は在日ファンクを知る前から、「ちょこちょこドラマとかに出てくるこの人は誰なんだろう」って思っていて。大人計画とか、どこかの劇団の人なのかなって思ってました(笑)。ハマケン(浜野)はもともと独特な形で自立していて、リスペクトしていました。その思いはもちろん今もあります。人との距離もハマケンだから許される部分が強くて、このインタビューでも答えるときカッコつけちゃっているのがかわいいでしょ?

浜野 いきなりからかわないでよ!(笑)

松田 こういう独特な人って、そのことに対して責任があるだろうし、そうであることを求められると思うんです。鈴木を演じるにしてもそのスパイスが効いているところが面白いなって思ってます。

──熊切監督が手がけた映画版では久保塚と鈴木のバディに危機が訪れます。

浜野 最初に上がってきた脚本を読んだとき、「あれ? 鈴木と署長のシーン少ねえな」と思いましたね。「(監督が)俺のこと嫌いになっちゃったのかな?」って思って、普通に翔太くんに電話しちゃいました(笑)。

松田 2人でおすし食べに行って、僕が「大丈夫」とか「日本酒飲んじゃう?」とか慰めてね(笑)。それで僕も寂しいなって思ったので、台本を練っているときに鈴木との場面をバランスを見ながら入れてもらえないか頼んだりもしました。僕が久保塚と鈴木のやりとりを観たかったってのが大きいんですけど。鈴木に関しては、熊切さんが切ったっていう説はありますけどね、「俺の映画に鈴木いらねえ」って(笑)。

松田翔太、浜野謙太

左から松田翔太、浜野謙太。

浜野 熊切さんのコメントがすごく気になって。「ハマケンがさあ画面に出てくるたびに、なんかすごいポップな感じになるんだよね。俺、ハマケンすげえなって思ってる」みたいな含みまくったこと言ってきて、「えっ、それってなんかバカにしてるんすか」って感じだったんですけど(笑)。

──先ほど台本作成時の話が少し出ましたが、松田さんも参加されたんですか?

松田 ドラマの撮影中に映画の本を作成していたんですけど、そのときに脚本の守屋(文雄)くんが台本持って僕のところに来て「ここ、どうかな?」って聞いてきたりとか、けっこう密にやりとりをしていたんです。それでドラマの撮影が終わったあとも制作のスタッフルームにときどき足を運んで、コーヒー飲みながらみんなで話したりしましたね。

──映画で印象に残ったシーンは?

松田 久保塚と鈴木がたこ焼きを食べるシーンがあって。そのシーンは休息の時間でもあるし、決心の時間でもあって、すごく大事な場面なんです。それで「よーいスタート」って声がかかったら(浜野が)「社長ー」って言ってきて(笑)。

浜野 いや、本番の前に頭で考えてたことをいろいろ捨てたりするじゃん。それでそのときも捨てたんだけど、捨てすぎたんだと思う(笑)。

松田 あれだけ「署長、署長」言ってた人がいきなり「社長」って(笑)。でもいい意味で力を抜かせてくれて、作品の中でも外でもいいバディでした。

──では最後に観客の方々に一言お願いします。

浜野 撮影中は周(須賀健太)や林(NOZOMU)などほかのバディに翔太くんを持っていかれて、嫉妬のメールを送ったりしたんですけど(笑)、ドラマからのファンの方も納得のバランスで署長と鈴木のバディ感を楽しめるんでご期待いただければ。

松田 世界観にすごくワクワクさせられると思います。まずはシンプルにこの世界観を味わっていただけたらなと。あと、久保塚という決して暴力を振るわない男を主人公に、気持ちの部分、人情に重きを置いた作品に仕上がってるので、そこにも注目してほしいです。

「ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-」は9月3日より全国劇場にてロードショー

ディアスポリス

©リチャード・ウー,すぎむらしんいち・講談社/映画「ディアスポリス」製作委員会

監督:熊切和嘉
原作(脚本):リチャード・ウー
原作(マンガ):すぎむらしんいち

出演:
松田翔太 浜野謙太
須賀健太 NOZOMU OMSB 木原勝利
宇野祥平 政岡泰志 康芳夫
安藤サクラ 柳沢慎吾


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