「ちはやふる」配信記念 矢本悠馬×森永悠希 瑞沢高校かるた部同窓会 -奇跡的な絆が生まれた現場-


「ちはやふる」配信記念

取材・文/熊谷真由子 写真/佐藤類

末次由紀のマンガを実写映画化した「ちはやふる」2部作のレンタル配信がビデオパスにてスタートした。ビデオパスnaviでは、同作の“同窓会企画”を実施。主人公・綾瀬千早率いる瑞沢高校かるた部の“肉まんくん”こと西田優征役・矢本悠馬、そして“机くん”こと駒野勉役・森永悠希の2人に集まってもらった。撮影時の思い出や、「ちはやふる」大ヒットを経た現在の活躍ぶり、そして2人の意外な関係が明らかに。後半には、ライバル校・北央学園競技かるた部のヒョロ役・坂口涼太郎のコメントも掲載している。

最初、絶対にソリが合わないと思った

瑞沢高校かるた部のメンバーは、みんな本当に仲が良かったそうですね。お二人も撮影を通して仲良くなったんですか?

森永悠希 そうです。たまたま1日、空き時間がすごくあったとき、僕と矢本くんだけが控え室にいて、けっこうお話させていただいて。

矢本悠馬 覚えてないですね(笑)。

森永 えー、覚えてない?(笑) 最初、矢本くんとは絶対にソリが合わないと思ったんですよ。自分とは一番かけ離れている人だろうなと。

矢本 俺は今でも(ソリが合わないと)思ってるけどね!(笑)

左から森永悠希、矢本悠馬。

左から森永悠希、矢本悠馬。

森永 そうか、そうなんか……(笑)。

矢本 基本、こうやっていつもいじってるんです。すべてをそつなくこなして誰にでも気に入られようとしている感じがすげえ嫌! ふふっ(笑)。

森永 そんなことないよ!(笑)

──矢本さんは、そつなく生きてはいない?

矢本 俺は不器用です。俺のこと嫌いなヤツは嫌えばいいしみたいな。

森永 カッコいい。

矢本 俺は言いたいことは言うけど、森永は思ってることがたくさんがあっても、あまり表に出さずに真面目に生きようとしてる。よく一緒に遊ぶんですけど、テッペン(深夜12時)を過ぎたあたりから、彼は愚痴とか言い出すんですよ(笑)。

森永 12時過ぎると、眠さも相まっていろいろ愚痴っちゃう。

──相手が矢本さんだから、本音も言えちゃう?

森永 そうですそうです。

矢本 俺は普段何も隠さず生きていて、駄目なところもよく他人に見せてるから、こいつになら甘えて愚痴言ってもいいやとか思ってるだろ?

森永 そういうわけじゃないけど、甘えさせてほしい!

矢本 僕は人に対してあまり好き嫌いがないし、どんなに醜いところがあってもそこが面白いと思ってるので、こいつも含めてほかの友達もみんなオープンすぎて、僕の周りの人間、おかしいことになってます(笑)。

森永 矢本くんだったら受け入れてくれそうだから!

現場のテンションは矢本くんが決めていた

──現場でも皆さん、そんなふうに和気あいあいな感じだったんですか?

森永 現場でのテンションは矢本くんが決めていたと思います。

矢本 年齢は一番上だったけど、精神年齢は低いので、どう考えても俺が一番子供やったもんな。

森永 いやいや、矢本くんと(野村)周平くんが中心になって、現場の空気を作ってくれていたというか。

森永悠希

森永悠希

矢本 たぶん周平も俺も自分勝手だっただけだよ。自分の大事なシーンだけ集中して、そうじゃないシーンではずっと暴れてるみたいな(笑)。

森永 それが結果的に現場の空気になってたんですよ。

矢本 ガキ大将だっただけだよ。

──今、撮影を振り返ってみていかがでした?

森永 ただただ、楽しかったです。近江神宮に行ったときも合宿みたいでしたし。

矢本 俺、わりとどの現場でもみんなすげえ仲いいんだけど、わざわざキャラクターを作らなくてもスッとお芝居に入れたっていう意味では確かに奇跡的だったかも。さすがに長い時間、みんなと一緒にいて仲良くなりすぎて、役と自分の区別が途中からなくなったというか。

森永 うんうん。

矢本 みんなといたらすぐ役に入れるんです。ただ、ちょっと全員ふざけすぎていて、監督が言っても止まらなかった(笑)。本番ギリギリまで笑いが止まらなかったのに、よくあんな泣けるような映画を撮れたなって思うくらい。みんな芝居うまい!みたいな。

自由に演じすぎてオリジナルになってます

──役柄とご自身との共通点はあったんでしょうか? それとも役を自分に寄せていった?

森永 矢本くんと一緒に衣装合わせだったんですけど、そのとき、この2人(机くんと肉まんくん)に関しては、あまり原作に寄せなくてもいいと思うという話を監督からしていただいて。もちろん原作ファンの方も大事にしなければいけないので、そこを残しつつ、映画のオリジナルなテイストも出せたらいいなという感じもあったんですが、机くんとの共通点……あるかな。

矢本 理屈っぽいところが似てる!

森永 あ、そうね。自分よりほかの人から見たほうがわかるってありますよね。あとハイプライドなところや、何かを始めたら最後までやりきらないと納得がいかないところ。

矢本 自分、カッコいいみたいな方向に持っていってない?(笑)

森永 そんなことないって!(笑)

──矢本さんは肉まんくんとの共通点はありますか?

矢本 僕は監督から原作を読まなくてもいいと言われたくらいで、台本の時点でセリフ回しがだいぶ僕に寄せられていて。自由に演じすぎてオリジナルになってます(笑)。だから原作ファンと末次(由紀)先生にブチ切れられるんじゃねえかと思っていたんですけど、末次先生が現場に来てくれたとき、「今、マンガのほうの肉まんくんは、矢本くんの声をイメージしながら描いています」と言ってくれたんですよ。だから俺、例えどんだけ原作ファンにディスられても、原作者の先生にそう言ってもらえたからもういいや、みたいな(笑)。

矢本悠馬

矢本悠馬

森永 すごいことだよね。結果、原作ファンの方も納得いくような作品になったし、大ヒットしたし。

矢本 役者仲間や業界の人たちの反応がよくて、みんな褒めてくださってうれしかったし、小泉(徳宏)監督、すげえなって。

──大ヒットしたことで何か変化はありましたか?

森永 その辺を歩いていて、よく気付かれるようになりました。

矢本 いいなあ、そういうの。俺、デビューしてからずっと同じやわ。特に気付かれることもないし、低迷してる(笑)。

森永 それは自分が気付かれてることに気付いてないだけでしょ(笑)。僕も、一緒にいるマネージャーや友達に言われるから。でも、だからって自分自身が変わったかと言われると、明確な変化はないですね。

矢本 俺も本当に何も変わってないです。書けることなくてごめんなさい(笑)。

かるたは一生やりたくないかも(笑)

──競技かるたはどんな練習をされましたか? 以前、主演の広瀬すずさんは膝の水ぶくれが破れても、サポーターなどを着けずに演じていたと言っていました。

森永 みんな足の親指のところに“かるたダコ”を作りながら、ひたすら札をパンパンと勢いよく払う練習をしていました。

矢本 かるたの払い方が重要になってくるんですよ。

森永 フォームをきれいにしなくちゃいけないので、千本ノックみたいにひたすら払う練習。

矢本 足がすごく痛いしアザもたくさんできるから、俺、もう一生やりたくないかも(笑)。

森永 あはははは(笑)。確かに痛かった。

矢本 摩擦がすごいもんね。袴で芝居するのもしんどくて、俺だけ毎シーン必ず袴が破けちゃうんですよ。だから毎回縫ってもらっていて。

森永 肉まんくんは特にダイナミックな動きを要求されてたからね。

矢本 監督がリアルさを求めていたので、サポーターなんかも着けず。

森永 あとスピードを要求されましたね。

矢本 1日何時間もやってるから、だんだん疲れて遅くなっちゃうんですよ。

──続編もありますが(笑)。

矢本 続編もかるたシーン……。

森永 クランクイン間近になったら練習もまたありますよ。

矢本 もう練習はいらんもん、できるもん!(笑)

森永 撮影中も時間があるときは、「空き部屋があるのでそこでかるたの練習しまーす」みたいな感じで、途中で練習してたよね。

矢本 撮影中、瑞沢かるた部とスタッフさんが本気の対決したことがあったんですけど、上の句のくだりと同じでこいつだけ……。

森永 (札が)取れない取れない(笑)。

矢本 あれ、本当にびっくりした。俺が最初にまず勝って、すずと(上白石)萌音、次にギリで周平が勝ったんだけど、森永だけ机くんみたいに本当に負けて。そんな映画みたいなうまい展開ある!?って(笑)。負けてイライラしてたよね。

森永 負けず嫌いだから。

矢本 そうそう、負けず嫌いすぎて、芝居中も「なんで俺だけ負けなあかんねん」ってつぶやいてた(笑)。

森永 キレてたわけじゃないですよ。テンションは下がってたけど(笑)。

矢本 飯食ってるとき、機嫌悪そうだから「どうしたの?」って聞いたら、「弱い役やから負けるのすごい嫌やわ」って言ってて(笑)。

数週間、矢本家に住んでいた

──お二人を見ていて、改めて仲の良さがわかりました。

森永 映画撮影という短期間で、瑞沢高校かるた部全員が仲良くなって、しかも今も関係が継続しているのは珍しいかもしれないですね。かるた部のSNSのトークルームがあるんですが、萌音ちゃんに「君の名は。」観たよーって言ったり、ほかの人の出演作の感想を言い合ったりして。改めて考えるとすごいですよね。

矢本 俺はまったく返信しない(笑)。機械音痴だから早く文字を打てないんですよ。で、打ってる間に次の会話がバンバンくるから、もういいやみたいになってしまう。

森永 確かに機械音痴やね(笑)。

──やはりお互いの出演作はチェックしてるんですね。

矢本 いや、映画は観るけどテレビはあまり観ないから、俺はチェックしてるってわけではないです。森永、俺のテレビの録画欄、知ってるよな? バラエティしかないもんな。

森永 そうだね。

──なんで知ってるんですか!?

森永 「ちはやふる」の撮影が終わって矢本くんが次の作品に入ってたとき、しんどいって言うから、僕、数週間矢本家に住んでて(笑)。

矢本 ちょっと身体がヤバいってなって、森永に助っ人でメシ作らせようと思って(笑)。

森永 ご飯作ったりしてました。お掃除は矢本くんのこだわりがあるから、それは自分でやってもらって。

矢本 庭の草抜きを一緒にやったり。

森永 夏の炎天下の中、しかも一番暑い2時くらいから始めたんだよね。朝からやったらええやん!

矢本 いや、身体絞ろうと思ってさ(笑)。

森永 ジャージ貸し出されて。

矢本 私服で草抜きとかしたらドロッドロになるし、緑の汁飛ぶぞ!

──お二人が同居生活を送るほど仲良しということがわかってよかったです(笑)。では最後に、役者としての目標を教えてください。

左から森永悠希、矢本悠馬。

左から森永悠希、矢本悠馬。

森永 おかげさまで、今、いろいろな役をやらせていただいているので、振り幅が大きい役者になれたらなと思っています。

矢本 俺も一緒です(笑)。俺、とりあえず売れたいしかないっすね!

森永 いやいや、売れてるじゃないですか!

ヒョロ役・坂口涼太郎 コメント

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坂口涼太郎

「ちはやふる」撮影当時を振り返って

撮影開始までの準備期間が約3カ月あったので、満足がいくまで役作りをすることのできる贅沢な現場でした。ヒョロくんのビジュアルに近づく為に7kgほどの減量もできましたし、北央学園かるた部のモデルである暁星高校かるた部の皆さんと実際の部室でかるたの稽古を思う存分できたのも、脚本には描かれていない北央高校かるた部のバックボーンを埋めることのできる貴重な時間でした。裏で僕らが埋めたものは、きっと画面から伝わると信じています。
現場での瑞沢高校かるた部の友情は凄かったですが、北央学園かるた部の団結は強豪校と呼ばれるに相応しい強固なものになりました。

現在の活動に関して

最近は演劇の現場に携わることが多いです。杉原邦生さん、中屋敷法仁さんなど、これから演劇界で一時代を築くであろう若い演出家の方々と出会う機会が多く、一緒に刺激的な作品を創れることに幸せを感じています。
ちはやふるではこれから映画界に旋風を巻き起こすであろう小泉徳宏監督と出会えたことが一番の宝物です。監督と出会えたことは僕の人生においてとても重要な出来事です。

これからの目標

映画と演劇を愛しているので、日本だけでなく世界中で刺激的なクリエイターの方々と面白い作品を創作していきたいです。
俳優としては人間の業を表現できるような、その役を演じることによって世界のどこかにいる人の想いが報われるような、自分の人生を芝居で還元できるような役に巡り会いたいです。

「ちはやふる」ファンへメッセージ

もともとちはやふるの読者であり、世界で一番ヒョロくんに感情移入していると自負していたので、ちはやふるファンの皆さんにその想いが伝わっていたら幸いです。
続編の製作も決定したので、まだまだちはやふる旋風は衰えないと思います。

矢本悠馬(ヤモトユウマ)1990年8月31日生まれ、京都府出身。2003年に映画「ぼくんち」で子役デビュー。2015年に「ブスと野獣」で連続ドラマ初主演。そのほかドラマでは「花子とアン」「水球ヤンキース」「ごめんね青春!」「ちゃんぽん食べたか」などに参加。主な出演映画は「銀の匙 Silver Spoon」「クローズEXPLODE」「トワイライト ささらさや」など。

森永悠希(モリナガユウキ)1996年6月29日生まれ、大阪府出身。2007年の映画「しゃべれども しゃべれども」で注目を浴びる。2013年には映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」の劇中バンドMUSH&Co.としてCDデビュー。ほかNHK大河ドラマの「平清盛」と「花燃ゆ」、映画「プリンセス トヨトミ」「ライヴ」などに出演した。

坂口涼太郎(サカグチリョウタロウ)1990年8月15日生まれ、兵庫県出身。2010年に俳優デビュー。主な出演作に映画「ソフトボーイ」「書道ガールズ!! -わたしたちの甲子園-」や、舞台「ヴェローナの二紳士」「花より男子 The Musical」など。ダンサーとしても活動しており、2007年に森山未來主演舞台「戦争わんだー」に参加した。

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