「50回目のファーストキス」太賀×佐藤二朗×福田雄一インタビュー


「50回目のファーストキス」太賀×佐藤二朗×福田雄一インタビュー


「50回目のファーストキス」

取材・文 / 映画ナタリー編集部 撮影 / 佐藤友昭
太賀:ヘアメイク / 高橋将氣 スタイリング / 石井大
佐藤二朗:ヘアメイク / 今野亜季(A.m Lab) スタイリング / 鬼塚美代子(Ange)
福田雄一:スタイリング / 森川雅代(FACTORY1994)

山田孝之と長澤まさみがダブル主演を務める「50回目のファーストキス」が、6月1日に公開される。本作はアダム・サンドラーとドリュー・バリモアが出演した2004年のハリウッド映画を原案とするラブコメディだ。ハワイで天文学者を目指しながらツアーガイドとして働くプレイボーイ・弓削大輔と、交通事故の後遺症により新しい記憶が一晩でリセットされてしまう短期記憶障害を負った女性・藤島瑠衣の恋を描き出す。

ビデオパスでは瑠衣に気付かれないよう事故のあった日曜日を再現し、彼女を守り続ける家族を演じた佐藤二朗と太賀、本作がラブストーリー初挑戦となった監督・福田雄一の鼎談をセッティング。佐藤は娘をだましながらも献身的に支える父親を、太賀は筋トレ好きな瑠衣の弟・慎太郎を演じている。ハワイオールロケで行われた撮影の裏話や、本作の魅力、そして意外にも本作で大きな役割を担ったという慎太郎のキャラクターについて話を聞いた。

太賀(タイガ)
1993年生まれ、東京都出身。2006年に俳優デビューした後、映画、ドラマ、舞台とさまざまな分野で活躍。主演作に「走れ、絶望に追いつかれない速さで」「ポンチョに夜明けの風はらませて」などがある。公開待機映画は「海を駆ける」「十年 Ten Years Japan」「母さんがどんなに僕を嫌いでも」「きばいやんせ!私」。10月放送開始のドラマ「今日から俺は!!」にも出演する。

佐藤二朗(サトウジロウ)
1969年生まれ、愛知県出身。1996年に演劇ユニット・ちからわざを旗揚げ。以降すべての公演で作、出演。そのほか数々のドラマ、映画に出演し個性派バイプレーヤーとして活躍している。現在はドラマ「やれたかも委員会」に出演中。待機作に映画「銀魂2(仮題)」、ドラマ「今日から俺は!!」、ミュージカル「シティ・オブ・エンジェルズ」がある。

福田雄一(フクダユウイチ)
1968年生まれ、栃木県出身。1990年に旗揚げした劇団ブラボーカンパニーで座長を務める。その傍らフリーの放送作家として「笑っていいとも!」など多くのバラエティ番組を手がけた。2009年に自身の舞台をもとにした「大洗にも星はふるなり」で映画監督デビュー。待機作に映画「銀魂2(仮題)」、ドラマ「今日から俺は!!」「聖☆おにいさん」、ミュージカル「シティ・オブ・エンジェルズ」「サムシング・ロッテン!」がある。

佐藤二朗  福田はどこ行った?

──福田監督はのちほど参加されます。

佐藤  なるほど。(太賀に向かって)今日も服装がシックだね。

──お会いするのはひさしぶりですか?

太賀  ついこの間、別の作品の衣装合わせで会ったばかりですね。

──まずご自身のキャラクターについて教えてください。

佐藤  藤島家はかなり悲惨な設定なわけですよ。そんな家族のお父さんは、いくら大人でも誰かに助けてほしいと思ったりするじゃないですか。最初は大事な娘にちょっかいかける大輔には父親然とした感じで接しているけど、こいつが「藁をもつかむ思い」の「藁」になってくれないかという心情がありましたね。でもあくまで家族本意。娘に対する思いだけは忘れずに演じてました。

佐藤二朗

佐藤二朗

──カッコいいですね。

佐藤  僕はカッコいいんです(笑)。

──太賀さんはいかがでしょうか。

太賀  二朗さんがおっしゃったように、お父さんが砦として大輔に厳しい目を持ってくれていたので、わりと自分は自由にしてて。お姉ちゃんを守らなければいけないという気持ちと、大輔を愛おしく思う気持ちがありました。だからけっこう複雑だったんですよ(笑)。かと言ってそれを全面に出してもいけないし。

佐藤  わりと出してたよ。「俺と付き合え!」とか言ってたじゃん(笑)。

太賀 この塩梅が難しかったのは事実です(笑)。大輔を見ていると、どんどん感情が高まってくる気持ちもありますし。

佐藤 実は何回も共演してるんですが、太賀はどんな芝居をやっても本物っぽく見えるんですよ。大輔に「胸毛くれよ!」とか、言ってることやってることはメチャクチャなんだけど、同時にこういう家族いるかもと思わせてくれる。どんなに嫌なことがあったとしても一周回って、人は飯を食うし笑うっていうふうに見えました。だから太賀と家族の芝居をやれて助かったなと。

太賀 ありがたいです……。

太賀

太賀

──ご本人がまだいない場ですが、福田監督がラブストーリーに挑戦されると聞いた最初の印象を教えてください。

佐藤 いやー。福田どうしたんだろうと。体調でも悪いのかと思いましたよ。

──(笑)。

佐藤 でも周りが言うほど意外とは思わなかったですね。福田流の泣けるやつを書くし、撮るんだろうなと。

──それはなぜでしょう?

佐藤 福田がいないから言うけど(笑)。僕が尊敬している舞台の演出家に鈴木裕美っていう人がいるんです。その人の言葉で「コメディができる俳優はサスペンスもできる」というのがありまして。裕美さんが言うには何かを言って笑わせるのと、何かを言ってみんなを怖がらせる間は一緒だと。だからコメディができる俳優はサスペンスもできる。これは役者の話ですけど、監督でも同じじゃないかと思いました。あと僕が出演した福田演出の舞台「THE 39 STEPS」にシリアスな面もあるんですよ。

(ここで福田雄一が登場)

佐藤 もう監督なのか、普通に遊びに来たおっさんなのかわからない(笑)。

福田雄一 よろしくお願いします。

佐藤 で、その舞台に俺が渡部篤郎さんを銃で撃つシーンがあるんです。俺が歩いて来て渡部さんを見てから銃を撃つという台本だったのを、福田は「まったく見ないで銃を撃ったほうがいいんじゃない?」と言って変えたんです。確かにそっちのほうがいいなと納得して。だから福田がシリアスな一面もある作品を撮るのに違和感はなかったですね。

──福田監督はラブストーリーを演出するうえでどこに一番こだわったんでしょうか?

福田 この映画が優れているのは難病ものであるのに悲壮感がないところなんです。日本で難病や障害を題材にすると、笑いに走ったら怒られるというか、いろいろ自由にできない雰囲気があって。もとの映画を観たときに、重いテーマを扱っているのにみんな前向きで明るいっていう印象を持ったんです。それを日本版でも受け継がないといけないし、僕がやるからには原案よりもさらに悲壮感をなくして、笑える面白いものに昇華させたいと思っていました。

──現場での太賀さんはいかがでしたか。

福田 台本からセリフをほとんど変えているんですよ。もともと太賀くん演じる慎太郎は、常識のあるキャラクターで書いていて。お父さんが馬鹿なことをやっても注意する息子だったんです。

──できあがりとまったく違いますね(笑)。慎太郎は映画のコメディリリーフでした。

福田 きっかけは大輔を空港で見送るという一番最初に撮影したシーンでした。慎太郎がお土産を大輔に渡すけど「でも俺にくれよ」というのは台本通りなんです。そして慎太郎が大輔にキスしようとしたら父親が引き剥がすのも事前に決めていました。ここで二朗さんがアドリブを入れてくれたんですよね。

佐藤 慎太郎に「ちょっと正面来て。正面」と言って思い切りビンタするっていう(笑)。でもこれは福田の想定内だよね?

福田 そうそう。なんとなく二朗さんによくあるパターンなんですけど。ビンタしたあとの慎太郎の顔がヤバかった。ビンタされた事実がなかったかのような普通の顔をしているんですよ。もうこれが馬鹿すぎて(笑)。その顔が慎太郎というキャラクターの構造を一気に変えました。こいつは俺が台本で書いた人間じゃないと。もう常識がない息子になった途端足したいセリフがどんどん増えて。大輔に向かって言う「おい! 胸毛くれよ!」とか、大輔の行動をいちいち褒めるみたいな。一番最初のビンタが面白かったので、どのシーンでもビンタしてもらったんですけど、一度もビンタされた顔をしないんですよ。

福田雄一

福田雄一

太賀 いや我慢するのに必死でした(笑)。

福田 本当に感謝しているのは太賀くんが持っている馬鹿な弟の雰囲気が藤島家の楽観性を支えていて。あの家庭に光を与えてくれているんですよね。

佐藤 悲壮感をなくしているよね。お姉さんの記憶が1日しか持たないのは、無茶苦茶かわいそうなことだよ。俺は勝手に、弟は弟なりに「俺が元気にしてないとみんなが落ち込む」っていう感情があるんだと思ってた。

福田 観客は大輔と瑠衣の関係性に注目するじゃないですか。そんな中、慎太郎が大輔を猛烈に好きって本当に邪魔なこと(笑)。慎太郎には「お前じゃない」っていう存在でいてほしかったんです。

──現場でセリフが変わっていくのに苦労はありましたか?

太賀 変わるのは自然に納得できましたね。僕の意気込みとしては2人目のヒロインぐらいの気持ち……(笑)。

佐藤 ハッ! 急に面白いこと言うな。びっくりする。

太賀 瑠衣はいるけど、僕も大輔を好きなんです。人を好きな気持ちに大小はないと思っているので。それが伝わればいいなという気合いで臨みました。

佐藤 ずっと一緒にいたけど気付かなかったわ(笑)。

福田 この映画の一番の笑いの担い手になってくれましたね。

太賀 初日に福田さんが笑ってくれたのがすごいうれしくて。やっぱり緊張するんですよ福田組って。コメディのハードルも高いように感じますし。(山田)孝之さんをはじめ、二朗さんやムロ(ツヨシ)さんと常連の方々がいる福田組ってチーム感もありますから。がっつり参加するのは初めてなので気合いも入ってました。

福田 それが全然わかんない。現場はあんなにぬるぬるの雰囲気なのに(笑)。

佐藤 だって福田は監督というか、ゆるキャラじゃん。

太賀 慎太郎が叫びながら筋トレしてる登場シーンがあるんですけど、気合いが入り過ぎてファーストカットのファーストテイクのテストでのど潰しちゃって。

一同 (笑)。

太賀 雄叫びを上げれば上げるほど、すごい笑ってくれるから何度も何度も声を出して、本番前には声がガスガスになりました(笑)。それから枯れ気味でやってるんですけど、役者として反省してます。

福田 二朗さんが最終的に「うるさい」ってツッコむぐらいの声量を出していたからね。

太賀 めちゃめちゃ現場の空気がいいんですよ。ハワイでの撮影というのもありますけど、のびのび芝居をやらせてもらえました。それを全部完璧に捉えていただけるし。今まで福田さんはコメディ映画を量産されてますけど、本作はラブコメディであり純愛がテーマ。世間的に見た福田さんの新しいフェイズの作品で、がっつり参加できたのはうれしかったです。

佐藤 フェイズってなんだよ(笑)。

太賀 フェイズというか新しい一面……?

福田 ここに太賀くんをブッキングできた自分を褒めたい(笑)。それぐらいハマったなっていう。実は最初に太賀くんとちゃんと話したのが、菅田(将暉)くんの「情熱大陸」なんですよ。

──福田さんがディレクターを務めた回ですよね。

福田 まったく”情熱”を感じない史上最悪の「情熱大陸」と言われています(笑)。前から太賀くんの評判は聞いていたんですけど、そのとき菅田くん、若葉(竜也)くん、太賀くんをしゃぶしゃぶに連れてって、インタビューを撮ったんです。「菅田くんのこんなところが嫌い」っていう話を振ったら、若葉くんが自分と太賀は友人の中でもぞんざいに扱われていると明かして。太賀くんはそのフリに真顔で「非常に腹立たしいです」とリアクションしたんです。本当に怒ってるのかなって勘違いするくらいすごくリアルなトーンで。その一言でこの子はコメディに出ても絶対に面白いはずだと。この作品をやると決まったときも、慎太郎は絶対に太賀と推して。確かキャスティングは一番最初に太賀くんを押さえたと思う。

太賀、佐藤二朗、福田雄一

左から太賀、佐藤二朗、福田雄一。

太賀 ありがたいです!

──最後に見どころを読者にお願いします。

福田 最近の日本映画になかった大人のラブストーリーだと思います。少女マンガ原作が多い中で大人の方にも楽しめるラブストーリーになってるかなと。もちろん「勇者ヨシヒコ」のスタッフ、キャストが作っているので小学生も笑えるはず。世代を問わず楽しんでいただけたら。

「50回目のファーストキス」は2018年6月1日(金)より全国ロードショー

「50回目のファーストキス」©2018『50回目のファーストキス』製作委員会

監督:福田雄一
出演:山田孝之 長澤まさみ ムロツヨシ 勝矢 太賀 山崎紘菜 大和田伸也/佐藤二朗

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