DIRECTORS#01 岩井俊二の世界

DIRECTORS#01 岩井俊二の世界

岩井俊二と聞いて「大好き!」と答える人は、今や日本人より韓国人の方が多いかもしれない。もちろん、日本でもファンの多い映画監督だが、彼が監督した中山美穂主演の『Love Letter』(1995)は韓国で最もヒットし、最も人気のある日本映画なのだ。いまだに舞台となった小樽には韓国人が訪れ、「お元気ですか~?」という劇中のセリフは韓国人の誰もが知っている日本語と言われている。

岩井俊二は1980年代後半にミュージックビデオから映像の仕事を始め、テレビドラマで評価され、その後映画に進出した。初の劇場用映画が『Love Letter』だ。その独特の映像美学は国内外で絶賛され、その後も実写映画のみならず、アニメやドキュメンタリーなど、数々の作品を発表している。オリジナルストーリーにこだわり、自ら脚本を書き、編集や音楽までも自身で手掛けるところは、映画監督より映像作家という言い方がしっくりくる。

そんな彼の12年ぶりの国内実写長編作が『リップヴァンウィンクルの花嫁』。主演に黒木華を迎え、綾野剛やCoccoが脇を固める。岩井俊二が書きおろした原作小説はすでに発売中でこちらも好評を博している。

 
  • 邦画
©RVWフィルムパートナーズ

岩井俊二の映画には独特の映像美学があると言われるが、確かに普段見ている景色や建物がとても魅力的に写る。「円都“イェン・タウン”」という架空の街を舞台にした無国籍風の映画『スワロウテイル』はその世界観が主役と言っても過言ではない。雑多で猥雑なのに魅力的なのだ。

また、岩井作品では、出演する女優たちも普段の輝き以上に魅力が引き出されている。『スワロウテイル』では、まだ無名だった伊藤歩が少女アゲハという重要な役を演じ、円都に負けない存在感を示した。

『四月物語』は67分の短い作品ながら、二十歳の頃の松たか子のフレッシュな魅力が満載である。彼女の初期のミュージックビデオも手掛けた岩井監督ならではの映画と言える。

『リリイ・シュシュのすべて』は蒼井優の映画デビュー作。いじめを扱った作品で、彼女は中学生ながら援助交際をするという難しい役を演じた。その演技で注目を浴び、『花とアリス』では鈴木杏とダブル主演。天真爛漫な女子高生アリス役は彼女の当たり役となった。

今回配信される4本は、その後大きく羽ばたく女優たちの一番初々しい頃が観られるチョイスだ。岩井俊二がいかに彼女たちの魅力を引き出したか、ぜひ確認してほしい。

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